向上心と素直さ

HIDEO MARUYAMA

KAZUKI OKAMURA

丸山と岡村は、新宿グランベルホテルの立ち上げに上司と部下として奮闘し、様々な取り組みに向き合ってきました。今はそれぞれのフィールドで活躍する2人に、これまでのタイムラインに思いを巡らせながら、グランベルホテルグループで得られる経験やこれからの未来について語ってもらいました。

無心になって働きながら、
会社の理念に理解を深めた新規ホテル立ち上げ

私は入社前から、新宿にグランベルホテルをオープンすると聞いていました。新宿、とりわけ歌舞伎町といえば当初は歓楽街のイメージ。「ここにどんなホテルができるんだろう」とワクワクしていたのを覚えています。

我々のコンセプトは「その街に合ったホテルを作る」ということ。歌舞伎町は日本で最も多様な人が集まる場所のひとつだよね。そんな街に合ったホテルとはどのようなものかと、デザイナーや設計の方々と考え抜いた末にこの異文化の雰囲気が溢れる素敵なホテルが完成したんだよね。今でこそ浸透してきたけど、当時はやはり珍しくて注目された覚えがあるよ。

そうですね。私も入社前は「なぜここに?」と思っていたくらいです。しかし、様々なお客様からホテルのハード面、ソフト面とご好評をいただく中で「なるほど」と思えることが多く、その疑問はすぐに納得に変わりました。

ホテル業界においては後発である我々が新宿という激戦区で勝ち残るためには、しっかりとしたコンセプトに基づいた個性や独自性がないと埋もれてしまうからね。ましてや485室もの大きな規模となると、集客力がないと経営も厳しい。「デザイナーズホテル」という売りは、渋谷・赤坂から引き継いでいるものだけど、まず注目を集められたのは本当に良かった。

私自身は、入社してすぐに立ち上げに関われたということで、仕事を通してこのホテルの狙いや歌舞伎町の持つニーズを体感すると同時に、その根本にある「その街に合ったホテルを作る」という会社のコンセプトに対して理解を深めることができたので、その点はすごく良かったと思っています。

オープンして、観光やレジャー目的で宿泊される海外のお客様がものすごく多かったのは想定外だった?特に直接お客様と接するフロント業務は苦労したんじゃないかな?

確かに想定した以上でしたね。もちろん会話は英語ですし、お客様も観光が目的なので色々な質問が飛び交います。また観光案内からお店の予約まで多くのご要望があったので、自ずと一組あたりの対応時間が長くなってしまう。そういった中でもビジネスでご宿泊のお客様も当然いらっしゃるので、お客様に合わせた対応には非常に苦労しましたね。

ビジネスのお客様が求めるものは、画一的なサービスをスピーディかつ効率よくという感じだけど、それに比べて観光が目的のお客様はコミュニケーションの量が多い。それを同時にこなすとなると、タイプは渋谷と似ているとはいえ、規模が大きく違うのでやはり苦労はしたと思う。ホテル全体としてもこの規模に対応していくのにオープンから1年くらいは掛かったという実感もある。

常に当事者意識を持つことが
自分自身の成長に必ず活きてくる

オープン当初は、正直に言うと分からないことばかりでした。ただ、理解しないままの業務を他の人に投げるということはしたくなかったので、自分でできる限りの事はやりきろうと思っていました。新人の頃から通常業務だけでなく、シフト管理、宿泊プラン企画など、様々な仕事を任せていただけたので、それが自分にとってのモチベーションになっていましたね。 

「自分でなんとかしよう」っていう気持ちは大事。実際にそれが伝わるか否かが仕事を任せる“ものさし”になるから。そういう部分で上から信頼されれば、もちろん後輩からの信頼も厚くなる。岡村をはじめ、同期のメンバーは、その意識は最初から高く持っていたよね。

12人いた新卒第一期生同期全員が、新宿に配属になったわけではないですが、「挑戦したい」という気持ちは一緒でしたから。新宿以外に配属になった同期には負けられないし、「全スタッフで力を合わせて頑張らないと」という気持ちだけはありました。

実際に当事者意識をしっかりと持って「自分でやっていくんだ」という強い気持ちがないと、新宿の規模やスピード感にサービスのレベルが追いつかない。やっぱり最初の数ヶ月は毎日何が起きてもおかしくない状況だったし、それを何とか乗り切れたのも、みんながそういう気持ちで日々の業務に当たってくれたからだと思うよ。

そう言っていただけるとうれしいです。でもそうやってみんなの気持ちが一つになれたからこそ、忙しい中でもやりがいを感じながら働けたのだと思います。3年目からは育成担当を任されて、丸山支配人からも厳しい言葉をかけていただけるようになりました。日々自分の未熟さを実感していますが、その分やりがいや責任感を感じながら、さらに「頑張らないと」と思うようになりました。

ホテルで働いて最初に壁にぶつかるのは教育する立場になった時。仕事の内容をチームで共有し、それをどのようにうまくやっていくか、そしてチームの力量をいかに高い水準に持っていくかが一番大変だと思うから。そこを超えられるかどうかが、プロのホテリエになるための一つのポイントになるからね。

部下の教育や人材育成について、心掛けていることはありますか?

「どういう役割で仕事をしてもらって、どこまで責任を持ってもらうか。その理由をちゃんと説明する」これが一番大切だと思っている。研修などでインプットすることも大事だけど、日々の実践の中で伝えるほうが、本人にとって一番わかりやすいと思うし、成長する何よりの近道になる。失敗することもあると思うけど、その都度自分自身で考え、改善していき仕事に取り組み続けていけば、どんどん経験が積まれてステップアップしたフィールドで絶対に活躍できるようになる。

丸山支配人が今おっしゃったことは、スタッフ個人の当事者意識を養うことにもつながりますよね。仕事における当事者意識というのは会社のベーシックマインドになっていると思います。そこはしっかりと持ち、これからも成長し続けていきたいと思います。

ホテル、企業の成長には
やはり「人」の力が欠かせない

その姿勢はとても大事だと思う。新宿のオープン時からホテルスタッフとして積んだ経験は、人事部に異動になってからも活きているんじゃないかな?

学生さんに自社の紹介やプレゼンをする機会が多いので、会社の顔として「この人と働きたい」と思ってもらえる存在になることを目指しています。会社の魅力を伝えるために、ホテルのどんなことにもアンテナを立てています。例えば、フロントだけではなく、レストラン、カフェ、営業、客室係等、幅広いフィールドを経験できることも当社の魅力の一つ。普段から各現場でお客様がどんなことを感じ、そのお客様に対して、我々はどんな価値を提供しているのか。現場と密にコミュニケーションを図りながら、机上ではなく、リアルな現場を感じる努力をしていくことが大切です。丸山支配人が兼任されているルグラン軽井沢は、新宿グランベルホテルとはまた趣が異なると思いますが、何か違いはありますか?

大きく違うのは接客におけるスピードとクオリティの考え方。新宿はスピードとクオリティのバランスが大事で、そこがホテルとして腕の見せ所。ルグラン軽井沢は接客時においてはクオリティ、そうでない時はスピードと、切り分けた上で向上させることを考える。大前提として規模が大きく異なるので、様々な面で違いはあるけれど、一番の違いはそこだと思う。

なるほど。ホテルによってお客様が求めることも違うわけですから、必然的に接客のスタイルも異なってくるわけですね。逆に場所や規模が違っても普遍的に変わらない大事なこととはどんなことですか?

少しでもいいから、自分の出来る範囲でちょっとしたプラスアルファを提供するという姿勢。つまり、お金として換算するのは難しいけど、例えばお支払いいただいた代金に対して100円でもいいからお得感とか満足感を提供できるか。その点をシティホテルでもリゾートホテルでも旅館でも、働くスタッフには意識して欲しい。お客様の観点からすれば、ハード面へのお金の投資よりも、ちょっとした心遣いの方が絶対にホテルの価値を上げられるから。

以前、丸山支配人から教わった「ホテルや企業を成す、"人・物・金"の中でもとりわけ"人"が大事」というのはそういうところですよね。

ホテルや企業の成長は、そこで働く「人」の力によって作られるからね。そこで必要になってくるのが「向上心」と「素直さ」だと思う。ホテルで働くからにはやはり支配人を目指して欲しいし、支配人なることでまた違った景色が広がってくるので、そこの醍醐味は感じて欲しいと思う。ただし、リーダーとなっても周りのスタッフの助けは不可欠。自分の足りないところを認め、周りの意見を吸収する柔軟さも持っていて欲しい。

会社が設立されてからまだ10年。今後は国内外問わず様々なコンセプトの拠点が増えていきます。既存の従業員はもちろん、新卒で入社する若手の存在も当社においては非常に重要です。年次や性別関係なく、すべての従業員が「向上心」と「素直さ」を意識して、さらなるスピード感を持って成長していく。このパワーの集合体が、今後のグランベルホテルグループの成長には欠かせません。

逆にこの二つの心がなければ、今後のホテルが成長するスピードについていけないのではと思っている。だから、グランベルホテルグループで働くスタッフには、「向上心」と「素直さ」を会社のDNAとして受け継いで行って欲しい。

私も従業員全員が「日本一のホテルグループを目指す」と言えるような向上心に満ち溢れた会社にしていきたいと思っています。平坦な道のりではないですが、その大きな目標に向かって1日1日小さな積み重ねを大事にしてチャレンジしていきたいと思います。